Immunology - Innate Immunity (Complement System Overview)
引き続き免疫系の動画、第3弾です。
テーマは、補体系の概論です。
補体系の主な機能と3つの経路をわかりやすく概説しています。
この動画(英語)を見ながら日本語のメモをつくりました。
補体系の3つの主要機能
オプソニン化
補体が病原体に結合し、マクロファージなどの食作用を容易にする。マクロファージには補体受容体があり認識できる。
膜侵襲複合体の形成
membrane attack complex:MAC病原体に穴をあける。水が細胞内に流入して細胞溶解(溶菌) lysis を起こし
病原体を破壊する。
情報強化
そもそも補体系とは?
血液中に存在する30種類以上のタンパク質からなるシステム。補体系のタンパク質は主に肝臓で産生される。
↓
血流に乗って体内を循環している。
(非活性なので身体を攻撃しない)
↓
循環血中で病原体と遭遇すると補体系が活性化すると
病原体のオプソニン化・膜侵襲複合体 MAC形成・情報強化(促進)などが行われる。
補体経路(補体カスケード)
補体同士が相互に活性化し合うカスケードを形成している。3つの経路が知られている。 各経路と重要な補体成分は以下の通り。
古典的経路
C1q、C1r、C1s、C4、C2代替経路/ 副経路
Factor D、Factor B、プロパージン properdin、C3レクチン経路
MBL(マンノース結合レクチン)/ フィコリンFicolinMASP-2(MBL結合セリンプロテアーゼ-2)、C4、C2
古典的経路
抗体依存的な経路。抗原抗体複合体の形成
↓
抗体に補体C1(C1q、C1r、C1s)が結合する。
(C1は、C1q、C1r、C1という3つのサブユニットで構成され三つ又の形状)
↓
複合体C4b2aの形成が誘導される。
C4b2aは、C3コンバーターゼ(転換酵素)、
不活性型のC3を活性型に変換する酵素。
レクチン経路
古典的経路と似ており、C4bC2aを形成する。レクチン経路の特徴は、補体系のタンパク質(フィコリン、MBL)が
病原体の糖鎖に結合することで始動する。
フィコリン
フィコリンが病原体の糖鎖に結合し、さらにMASP-1とMASP-2が結合する。
マンノース結合レクチン(MBL)
MBLが病原体のマンノースに結合し、さらにMASP-1とMASP-2が結合する。
MASPとは、Mnnose Associated Serine Protease、
MBP結合性セリンプロテアーゼ(用語要確認)。
フィコリンとMASPの複合体、MBLとMASPの複合体が
上述のようにして形成されると
↓
C3コンバーターゼである複合体
C4b2aの形成が誘導される。
代替経路/副経路
代替経路は、古典的経路やレクチン経路でC4b2aが形成されると活性化する。C4b2aの酵素作用により
C3からC3bがつくられる(活性化される)。
↓
C3bにB因子(Bb)、因子Dが結合する。
↓
C3コンバーターゼである複合体、C3bBbが形成される。
なお、因子Dとは別のタンパク質の結合によっても
C3bBbが形成される。
代替経路は、古典的経路とレクチン経路を強化し、
古典的経路とレクチン経路は、代替経路を強化する。
C3コンバーターゼ(転換酵素)
C4b2a
C4B2aは病原体の表面にあって、主な機能はC3を活性化すること。↓
C3が切断されてC3aとC3bがつくられる。
↓
代替経路で、C3bが機能する。
C3bBb
C4B2aの概略は、C4b2aと同じ。病原体の表面にあって、C3を活性化する。
C3が切断されてC3aとC3bがつくられる。
補体成分C3a、C3b、C5bの主な機能
C3a
C3aは、C5などの他の補体とともに働き情報を強化する。
C3a+C5aは、肥満細胞からのヒスタミン遊離を刺激する。
ヒスタミンは、血管透過性を亢進し、
白血球(好中球、マクロファージ)の動員を強化する。
C3b
C3bは、thioester bond チオエステル結合を有している。
C3bの機能は、オプソニン化を始動、膜侵襲複合体MAC形成を始動する。
C3bは、体内に多く存在する。
● C3bとオプソニン化
C3bは、細胞の表面にチオエステル結合で結合し、
マクロファージによるオプソニン化を容易にする。
マクロファージは、C3bと結合する2つの補体受容体をもっている。
・CR1(complement receptor type 1、1型補体受容体)
・C5a受容体
補体成分C5aがマクロファージのC5a受容体に結合すると
↓
補体成分C3bがマクロファージのCR!に結合する。
↓
マクロファージが病原体を貪食する。
● C3bとC5a、C5bの関係
C3bは、C4b2aに結合し、C4b2a3bとなる。
C4b2a3bは、C3/C5コンバターゼ。
↓
C4b2a3bにより、
C3からC3a+C3bがつくられ、
C5からC5a+C5bがつくられる。
↓
C5aは、情報強化の機能を有し、
C5bは、マクロファージのC5a受容体に結合する。
C5bの機能
C5bは、補体経路による病原体排除のターミナルステージである
膜侵襲複合体 MACの形成に関与している。
MAC形成は、他の補体成分との共同作業。
MAC形成により病原体は溶解し破壊する。
....以上がメモです。
面白いですね。
日本語の用語は、教科書というか書籍を参考にしました。
この動画のように概論のわかりやすい説明を聴くと
教科書などの関連する項目を読む気になります。